大変遅くなりました。二週間遅れですが綾代の誕生日SSを書きました。
良かったらご覧ください。
SS本編は続きからどうぞ。短いよー。
「梢子さん」
「うん」
「梢子さん」
「ん、で?」
度重なる呼び声に頭を上げ、手元のノートから差し向かいに座る綾代へと視線を向ければ、いつも以上に困ったような表情を見せる彼女に出会った。
はあ、これは一体どういうことなのかしら。私としては困らせる質問をしたつもりは無いのだけど。
そう、今から十と数分前、私は綾代に一つの質問をしていた。間近にせまる期末試験に向けた試験勉強を学内の図書館で彼女と一緒にしながら向けた質問は、何気ないものだった、はず。
試験が終わればすぐに彼女の誕生日がやってくる。だから訊ねたのだ、何か欲しいものは無いか、と。
そこで返ってきたのが先ほどの綾代のあの態度なのだ。ただ私の名前を呼ぶのみで、あとは困り顔を向けてくるだけ。そんなにも言いにくいものが欲しいというのだろうか。綾代に限って。それとも誕生日に欲しいものを直接訊ねた私に呆れているのだろうか。
綾代の態度が意味するところが分からなくて、自然、私にも綾代と同じように困惑の表情が浮かんでしまう。
「ねえ、綾代? 何でもいいから欲しい物言ってみてよ。そりゃ、なんでもあげられるわけじゃないけど。検討くらいはするわよ。ね?」
どうにか現状を打開しようと綾代に向けた台詞に綾代がふんわりと微笑んでくれた。ただし、困り顔そのままに。その表情の意味を考える間もなく綾代がてきぱきと動きだした。目の前に広げられた勉強道具を片付けだしたのだ。
「え、あ、綾代?」
「今日は私、これで失礼しますね」
「えっ、ちょっと!?」
綾代の突然の行動についていけない。制止しようと思ったときには、既に片付けられた勉強道具は学生カバンに納まり彼女が立ち上がっていた。慌てて追いかけるように立ち上がれば、出口に向かう綾代が私の隣を通り過ぎようとする。
いや、通り過ぎるかと思った彼女が私の隣で止まる。そしてそっと顔だけ私の元へ近づけてきた。
えっと、綾代……?
綾代の行動に戸惑いを隠せないでいる私に、ひそめられた涼やかな声が届く。
「私、欲しいものちゃんと言いましたよ。むしろそれしか言ってませんから」
「えっ!?」
綾代は何を言っているの? だって私が質問してからこっち、彼女は私を呼ぶばかりで。
でも。
でもそれが答えだというのなら。
答えにたどり着いた瞬間、かっと全身が熱くなった。
自分の答えが正しいのか確認しようと、隣に立つ綾代へと視線を向ければそこには既に彼女の姿は無く。振り返れば出口へとそそくさと向かう彼女が見えるばかり。
だが、それこそ私が手にした答えが正しいという証。
だって足取りはいつもより速いし、なにより揺れる髪からちらちらと覗く顔が朱に染まっていたのだから。
その姿に私は安堵したのだろうか。力が抜けるようにのろのろと、元の椅子に腰掛けなおす。
そしてゆっくりと片手で顔を被った。きっと赤いであろう顔が他の人に見られないようにと。早く熱が引くようにと。
「まったく……」
一人ごちた言葉は既に居ない彼女には届かない。
だからこそ、彼女を前にしては言えない言葉をそっとつぶやく。
「私だってあげたくないわけじゃないんだから。お望みのもの用意してあげるわよ」
17歳の綾代への誕生日プレゼントが決まった。でもそれはすごくすごく恥かしいとともに、どこか嬉しいと感じた。
END
良かったらご覧ください。
SS本編は続きからどうぞ。短いよー。
「梢子さん」
「うん」
「梢子さん」
「ん、で?」
度重なる呼び声に頭を上げ、手元のノートから差し向かいに座る綾代へと視線を向ければ、いつも以上に困ったような表情を見せる彼女に出会った。
はあ、これは一体どういうことなのかしら。私としては困らせる質問をしたつもりは無いのだけど。
そう、今から十と数分前、私は綾代に一つの質問をしていた。間近にせまる期末試験に向けた試験勉強を学内の図書館で彼女と一緒にしながら向けた質問は、何気ないものだった、はず。
試験が終わればすぐに彼女の誕生日がやってくる。だから訊ねたのだ、何か欲しいものは無いか、と。
そこで返ってきたのが先ほどの綾代のあの態度なのだ。ただ私の名前を呼ぶのみで、あとは困り顔を向けてくるだけ。そんなにも言いにくいものが欲しいというのだろうか。綾代に限って。それとも誕生日に欲しいものを直接訊ねた私に呆れているのだろうか。
綾代の態度が意味するところが分からなくて、自然、私にも綾代と同じように困惑の表情が浮かんでしまう。
「ねえ、綾代? 何でもいいから欲しい物言ってみてよ。そりゃ、なんでもあげられるわけじゃないけど。検討くらいはするわよ。ね?」
どうにか現状を打開しようと綾代に向けた台詞に綾代がふんわりと微笑んでくれた。ただし、困り顔そのままに。その表情の意味を考える間もなく綾代がてきぱきと動きだした。目の前に広げられた勉強道具を片付けだしたのだ。
「え、あ、綾代?」
「今日は私、これで失礼しますね」
「えっ、ちょっと!?」
綾代の突然の行動についていけない。制止しようと思ったときには、既に片付けられた勉強道具は学生カバンに納まり彼女が立ち上がっていた。慌てて追いかけるように立ち上がれば、出口に向かう綾代が私の隣を通り過ぎようとする。
いや、通り過ぎるかと思った彼女が私の隣で止まる。そしてそっと顔だけ私の元へ近づけてきた。
えっと、綾代……?
綾代の行動に戸惑いを隠せないでいる私に、ひそめられた涼やかな声が届く。
「私、欲しいものちゃんと言いましたよ。むしろそれしか言ってませんから」
「えっ!?」
綾代は何を言っているの? だって私が質問してからこっち、彼女は私を呼ぶばかりで。
でも。
でもそれが答えだというのなら。
答えにたどり着いた瞬間、かっと全身が熱くなった。
自分の答えが正しいのか確認しようと、隣に立つ綾代へと視線を向ければそこには既に彼女の姿は無く。振り返れば出口へとそそくさと向かう彼女が見えるばかり。
だが、それこそ私が手にした答えが正しいという証。
だって足取りはいつもより速いし、なにより揺れる髪からちらちらと覗く顔が朱に染まっていたのだから。
その姿に私は安堵したのだろうか。力が抜けるようにのろのろと、元の椅子に腰掛けなおす。
そしてゆっくりと片手で顔を被った。きっと赤いであろう顔が他の人に見られないようにと。早く熱が引くようにと。
「まったく……」
一人ごちた言葉は既に居ない彼女には届かない。
だからこそ、彼女を前にしては言えない言葉をそっとつぶやく。
「私だってあげたくないわけじゃないんだから。お望みのもの用意してあげるわよ」
17歳の綾代への誕生日プレゼントが決まった。でもそれはすごくすごく恥かしいとともに、どこか嬉しいと感じた。
END
[ アオイシロSS/アヤオサ]










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