ハッピーバースデー 葛様!
はい、今日はアカイイト若杉葛様の誕生日です。
おめでとうございます!
というわけで葛様誕生日SSです。
CPはいつも通りケイツヅ……かなぁ、これ。
ケイツヅのつもりで書いてたんですが、ケイツヅと言い切るには微妙……。桂ちゃん出てこないし。というかミギーさん出すぎ!
ケイツヅ、ミギオサ前提の「葛様と汀の話」というのが一番妥当かもしれません。
えっとアカ・アオどちらもどのルートというのは想定してませんが、アオのドラマCDのように汀は葛様に呼び出されてる設定です。
あと、昨日UPしたミギオサもちょっと絡んでますが、読んで無くても問題ありません。
それではSS本編は続きからどうぞ。
笑顔。笑顔。笑顔。それは作ったものでしかないが、受け取る相手もそれを承知しているのだから気にすることなどない。
贈られた社交辞令に見合うだけの台詞を笑顔に載せて返すだけ。
それはわたしの後ろに佇む彼女も分かっていると思ったのだが。
彼女――鬼切り部沖縄支部、守天党が鬼切の一人、喜屋武汀。
自分の目で選んだ信頼できる側近を探しているわたしにとって、彼女は実にちょうど良かった。それなりの強さを持ちながらも、役付きでないためにそこまで忙しくない。また、守天党が去年の夏にやらかした(正確には発覚した)件により、彼女をこちらに貸し出すことを守天党は拒否できない。加えて彼女自身もこちらに来るにやぶさかでない事情を抱えていたし。
そこで何かあるたびに、こちらで仕事をしてもらっていた。それは今日も。わたしの誕生日パーティーの護衛として側に控えてもらっていた。
次々やってくる客への応対がひと段落したところで、その彼女が言ってきた。
「もうちょっと歳相応の顔をしたらいかかです?」
なんて余計なことを。
烏月さんほど固くなく、白花おにーさんほど世話好きでない彼女にこんなことを言われるとは思わなかった。意外にもお節介なところがあるらしい。わたしの人を見る目もまだまだといったところか。
「歳に似合わないのはお互い様じゃないんですか」
そう、うちの業界(裏の方)にいるものは、大概幼い頃からこの世界に足を踏み入れている。そのため、年齢より大人びた印象を持つ人が多い。彼女もその例に漏れないはずだが。
確認するように振り返って彼女を見る。
おや?
受ける印象がいつもと違うような……。まさに歳相応といった柔らかい表情を浮かべている。
ああ、そうか。あの人のせいか。彼女がこちらに来るにやぶさかでないその理由。彼女の想い人がそうさせるのだろう。なにしろ昨日はバレンタインデー。『昨日はお楽しみでしたね』ってやつだろう。
おそらくさっきの台詞もあの人の影響に違いない。
はっきり口には出してなくても、こんなのは惚気と変わらない。思わず嫌味の一つも言いたくなる。
「汀さんはいいですねー。会いたい人に会えて」
「それ、葛様が言います? お仕事は今日だっていうのに、昨日の午後こっちに着く飛行機手配させたくせに。あたしはそれを有効活用しただけですよ」
む。確かにそうなのだけど。こっちに強引に呼びつけている引け目とまで言わないまでも、多少なりとも済まないという気持ちがあったから、ご褒美代わりにと彼女へ時間を与えたのだけど。こう明け透けにそれを認められると、少し面白くない。
だからと言ってそれを表に出すようなことはしないけど。彼女の言う『歳不相応』な顔ってやつで、再度パーティーの客人へと笑顔を向ける。
そんなわたしに、人が途切れたときを見計らって、背後からまたも声がかかる。
「会いたいなら、会いに行ったらいいじゃないですか。今日くらい羽目をはずしてもいいんじゃないですか?」
「汀さん、このパーティーが何時に終わるかご存知ですか?」
知らない訳がない。彼女はわたし付きとしてここにいるのだから。それでも敢えて問いかける。彼女の提案がいかに実行不可能かを教えるために。
「21時ですよね」
「そうです。しかし21時に終わったからといって、わたしが21時に解放される訳じゃないんですよ。パーティーが終わったら待っているのは帰る客人への応対です。そうですね、全て終わるのは23時位でしょうか」
そこで初めてわたしの自由にできる時間ができる。今日が、わたしの誕生日が終わるまで一時間と無い。 もとより、そんな深夜とも言える時間に桂おねーさんに会いに行ける訳がない。
だが、彼女の考えは違ったらしい。
「一時間もあるじゃないですか」
なんて事も無げに言ってくる。
「わたしたちならともかく、普通、日付も変わろうかという時間に会いに行くのは非常識じゃないですか」
「そうですね。でも、それを理由にあたしは会いに行くの止めませんけど。それでこの間なんかすっごい怒られましたけどね」
「意味無いじゃないですか」
「意味? 意味ならありますよ。会えるときに会っとかないと、いつ会えなくなるか分かりませんからね」
それは静かな声。たとえるなら波紋一つ立たない湖のようなそれに思わず振り向けば、そこに立つのは一人の鬼切。
そうだ。これが現場に立つものの覚悟なのだろう。
わたしはいつの間にか平和ボケしていたのだろうか。大事な人に会うのを『いつか』でいいと先延ばしにするなんて。
「汀さん、お願いがあります」
「なんでしょう?」
「車の手配をお願いできますか。23時になったらすぐに出られるように」
「了解。あ、怒られる覚悟もしといた方がいいですよ」
さっきまでとはうって変わり、にこやかな笑顔を浮かべてそう言う彼女に、こちらも笑みを浮かべて応対する。ただしこちらは『不敵な』という形容がつきそうなそれだが。
「それは要りませんね。桂おねーさんはそんなことで怒ったりしませんから」
そう。いつだって笑顔で、いや、時には泣きそうな笑顔でおねーさんは迎えてくれる。
脳裏には次々と今までに見たおねーさんの笑顔が浮かぶ。
「あっ、それそれ。その顔の方がずっといいですよ」
「はい?」
「スマイル」
彼女の指摘に口元へと手をやれば、知らず綻んでいるそれに気づく。慌ててビジネス用の笑顔に切り替えれば、すかさず彼女から不満の声が上がった。
「なんで止めちゃうんですかー」
「いーんです! あれは桂おねーさん専用なんです!」
そう、ホントの笑顔を見せるのはおねーさんだけでいい。
今日という日が終わる前に、貴女に会いに行きます。貴女だけへの笑顔を添えて。
さて、今日はどんな笑顔で迎えてくれますか。
END
はい、今日はアカイイト若杉葛様の誕生日です。
おめでとうございます!
というわけで葛様誕生日SSです。
CPはいつも通りケイツヅ……かなぁ、これ。
ケイツヅのつもりで書いてたんですが、ケイツヅと言い切るには微妙……。桂ちゃん出てこないし。というかミギーさん出すぎ!
ケイツヅ、ミギオサ前提の「葛様と汀の話」というのが一番妥当かもしれません。
えっとアカ・アオどちらもどのルートというのは想定してませんが、アオのドラマCDのように汀は葛様に呼び出されてる設定です。
あと、昨日UPしたミギオサもちょっと絡んでますが、読んで無くても問題ありません。
それではSS本編は続きからどうぞ。
笑顔。笑顔。笑顔。それは作ったものでしかないが、受け取る相手もそれを承知しているのだから気にすることなどない。
贈られた社交辞令に見合うだけの台詞を笑顔に載せて返すだけ。
それはわたしの後ろに佇む彼女も分かっていると思ったのだが。
彼女――鬼切り部沖縄支部、守天党が鬼切の一人、喜屋武汀。
自分の目で選んだ信頼できる側近を探しているわたしにとって、彼女は実にちょうど良かった。それなりの強さを持ちながらも、役付きでないためにそこまで忙しくない。また、守天党が去年の夏にやらかした(正確には発覚した)件により、彼女をこちらに貸し出すことを守天党は拒否できない。加えて彼女自身もこちらに来るにやぶさかでない事情を抱えていたし。
そこで何かあるたびに、こちらで仕事をしてもらっていた。それは今日も。わたしの誕生日パーティーの護衛として側に控えてもらっていた。
次々やってくる客への応対がひと段落したところで、その彼女が言ってきた。
「もうちょっと歳相応の顔をしたらいかかです?」
なんて余計なことを。
烏月さんほど固くなく、白花おにーさんほど世話好きでない彼女にこんなことを言われるとは思わなかった。意外にもお節介なところがあるらしい。わたしの人を見る目もまだまだといったところか。
「歳に似合わないのはお互い様じゃないんですか」
そう、うちの業界(裏の方)にいるものは、大概幼い頃からこの世界に足を踏み入れている。そのため、年齢より大人びた印象を持つ人が多い。彼女もその例に漏れないはずだが。
確認するように振り返って彼女を見る。
おや?
受ける印象がいつもと違うような……。まさに歳相応といった柔らかい表情を浮かべている。
ああ、そうか。あの人のせいか。彼女がこちらに来るにやぶさかでないその理由。彼女の想い人がそうさせるのだろう。なにしろ昨日はバレンタインデー。『昨日はお楽しみでしたね』ってやつだろう。
おそらくさっきの台詞もあの人の影響に違いない。
はっきり口には出してなくても、こんなのは惚気と変わらない。思わず嫌味の一つも言いたくなる。
「汀さんはいいですねー。会いたい人に会えて」
「それ、葛様が言います? お仕事は今日だっていうのに、昨日の午後こっちに着く飛行機手配させたくせに。あたしはそれを有効活用しただけですよ」
む。確かにそうなのだけど。こっちに強引に呼びつけている引け目とまで言わないまでも、多少なりとも済まないという気持ちがあったから、ご褒美代わりにと彼女へ時間を与えたのだけど。こう明け透けにそれを認められると、少し面白くない。
だからと言ってそれを表に出すようなことはしないけど。彼女の言う『歳不相応』な顔ってやつで、再度パーティーの客人へと笑顔を向ける。
そんなわたしに、人が途切れたときを見計らって、背後からまたも声がかかる。
「会いたいなら、会いに行ったらいいじゃないですか。今日くらい羽目をはずしてもいいんじゃないですか?」
「汀さん、このパーティーが何時に終わるかご存知ですか?」
知らない訳がない。彼女はわたし付きとしてここにいるのだから。それでも敢えて問いかける。彼女の提案がいかに実行不可能かを教えるために。
「21時ですよね」
「そうです。しかし21時に終わったからといって、わたしが21時に解放される訳じゃないんですよ。パーティーが終わったら待っているのは帰る客人への応対です。そうですね、全て終わるのは23時位でしょうか」
そこで初めてわたしの自由にできる時間ができる。今日が、わたしの誕生日が終わるまで一時間と無い。 もとより、そんな深夜とも言える時間に桂おねーさんに会いに行ける訳がない。
だが、彼女の考えは違ったらしい。
「一時間もあるじゃないですか」
なんて事も無げに言ってくる。
「わたしたちならともかく、普通、日付も変わろうかという時間に会いに行くのは非常識じゃないですか」
「そうですね。でも、それを理由にあたしは会いに行くの止めませんけど。それでこの間なんかすっごい怒られましたけどね」
「意味無いじゃないですか」
「意味? 意味ならありますよ。会えるときに会っとかないと、いつ会えなくなるか分かりませんからね」
それは静かな声。たとえるなら波紋一つ立たない湖のようなそれに思わず振り向けば、そこに立つのは一人の鬼切。
そうだ。これが現場に立つものの覚悟なのだろう。
わたしはいつの間にか平和ボケしていたのだろうか。大事な人に会うのを『いつか』でいいと先延ばしにするなんて。
「汀さん、お願いがあります」
「なんでしょう?」
「車の手配をお願いできますか。23時になったらすぐに出られるように」
「了解。あ、怒られる覚悟もしといた方がいいですよ」
さっきまでとはうって変わり、にこやかな笑顔を浮かべてそう言う彼女に、こちらも笑みを浮かべて応対する。ただしこちらは『不敵な』という形容がつきそうなそれだが。
「それは要りませんね。桂おねーさんはそんなことで怒ったりしませんから」
そう。いつだって笑顔で、いや、時には泣きそうな笑顔でおねーさんは迎えてくれる。
脳裏には次々と今までに見たおねーさんの笑顔が浮かぶ。
「あっ、それそれ。その顔の方がずっといいですよ」
「はい?」
「スマイル」
彼女の指摘に口元へと手をやれば、知らず綻んでいるそれに気づく。慌ててビジネス用の笑顔に切り替えれば、すかさず彼女から不満の声が上がった。
「なんで止めちゃうんですかー」
「いーんです! あれは桂おねーさん専用なんです!」
そう、ホントの笑顔を見せるのはおねーさんだけでいい。
今日という日が終わる前に、貴女に会いに行きます。貴女だけへの笑顔を添えて。
さて、今日はどんな笑顔で迎えてくれますか。
END
[ アカイイトSS/ケイツヅ]










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